毎年、三年生と一緒に給食を食べる機会をもっています。 その中で、 「あなたの夢はなんですか?」という質問をします。感心するのが、多くの生徒が夢をもち、 それを堂々と語ることができることです。
「先生になりたい」という就きたい職業がある生徒もいますし、 「人の役に立ちたい」 「人を笑顔にする人になりたい」など、理想の生き方を語る生徒もいます。しっかりと将来のことを考えているなあというのが、率直な感想です。
私は、「夢をもつ」ということは、よりよく生きるうえで、何より大切なことだと思っています。 夢は、 太陽のような存在だといわれます。 太陽が地球に光やぬくもりを与えるように、夢は、私たちに生きる力と生きる意味を与えてくれます。 夢をもつと、生きることに対して前向きになり、苦しいこと、つらいことがあってもそれに立ち向かう勇気がわいてきます。
例えば、「全国大会で優勝したい」という夢をもっている人がいるとします。 その人にとっては、たとえ苦しくつらいハードな練習であっても、それは、苦行ではなく、夢の達成に近づく階段になります。また、記録が伸びた時や、よい成績がとれた時は、夢に近づいていることを実感し、喜びや充実感に包まれるでしょう。さらに、身体の扱い方、栄養管理、 メンタルの整え方など、夢の達成に必要なさまざまな知識について興味がわき、 どん欲に学び始めるでしょう。
このように、生き方、考え方を形づくる源泉ともいえるのが、夢なのです。本校には生徒の目ざす指針として、 「くろしお魂」があります。 その最後の項目は「大きな夢」。 また、正面玄関には「黒潮と太陽、大きな夢と」というメッセージが掲げられています。 「大きな夢をもつ」ことは、本校生徒が目ざすべき重要なテーマになっています。 では、どうすれば、夢をもつことができるのでしょう。
会食中のある生徒の言葉にヒントがありました。 「私は、職場体験で、 福祉施設に行きました。 そこに行くことに決めた理由は、特に興味があったわけではなく、家から近かったからでした。 だけど、 そこで、施設のかたがたやお年寄りから 『ありがとう』って言ってもらい、すごくうれしかったんです。その経験がきっかけで、福祉施設で働くことが私の夢になりました。」
この言葉は、夢をもつために、必要なのは「経験」だということを教えてくれます。好きなこと、興味がわくことだけでなく、興味がなくても、 苦手だなあと思っても、とりあえずチャレンジしてみることは、人生の幅を広げ、 夢づくりの可能性を広げるうえで、とっても大切なことです。
私たちは「自分の可能性を信じ、思い切りチャレンジする生徒を育てる」を合言葉に、生徒の活躍の場を保障し、 バラエティ豊かな経験をさせようと教育活動の充実に努めました。 この一年間でまいた種が、生徒一人一人の大きな夢となって咲き誇ること、 これが校長としての私の夢です。
保護者や地域のかたがたには、温かく高豊中学校を見守っていただき、本当に感謝しています。 教職員一同、 まだまだ力不足ではありますが、 高豊中学校を魅力的な学校にしていくために全力をつくします。 今後ともどうぞよろしくお願いします。
夢 校長 小久保憲司