富士見小の伝統行事と言えば、「りんご皮むき大会」 です。 子どもたちにとっても大切な行事になっています。この大会は、昭和59年、開校の年に始まり、昨年度は41回目でした。以前には、実施の是非についてさまざまな声が上がったようです。しかし、続けていくうちに少しずつ記録が伸び、令和三年と五年には20mを超える記録が樹立されました。最近では、新聞やテレビなどでも取り上げられて脚光を浴びるようになり、 富士見小の代名詞ともいえる行事となっています。この珍しい行事がなぜここまで続いたのかを考えてみました。
まず、開校当初からの思いが受け継がれていることです。初代の校長は、刃物の正しい使い方を覚え、手先の器用さや集中力を養うことを目的にこの行事を始めました。その思いはしっかりと浸透し、大会当日は、ぴんと張り詰めた静寂の中、全員が集中して皮をむいていきます。 ここぞという時の集中力はこの大会で培われているように思います。
次に、自分自身への挑戦であることです。 学校では、これだけ練習しましょうという宿題は出しません。 自分で目標を設定し、自主的に練習をして大会に臨みます。 子どもによって努力の度合いはさまざまですが、記録を伸ばすために、何度も挫折しながら自分流のむき方を編み出していく子もいます。
このように、教師が強制することなく、子どもの主体性を大事にしているから継続できたのだと考えます。最後は、PTA役員・委員さん、おやじの会の皆さんの協力体制です。安全管理のための見守り、記録の計測、ナイフの洗浄など、教員だけではできないところを補っていただいています。保護者の皆様、地域の皆様の全面的な協力あっての行事なのです。
時代とともに価値観が多様化し、学校教育の在るべき姿も変わってきています。 富士見小学校もそれに合わせ、変革していこうと考えています。 その一つが運動会のもち方です。 今年度から、「富士見スポーツフェスタ」と名称を変更し、内容を大幅に変えました。生涯スポーツの観点から、運動を楽しむことを第一のねらいとし、「競争を楽しむ」 「ペアを楽しむ」 「思考を楽しむ」などの区分ごと種目を選び、子どもたち自身が勝利に向けて工夫して取り組むことを大切にしていきます。今年度は、りんご皮むき大会などの富士見小学校の伝統を受け継ぎながらも、時代の変化に合わせた新たな伝統を創っていけるよう、教職員が一丸となって教育活動を進めてまいります。地域の皆様、保護者の皆様、引き続きご支援とご協力をお願いします。
伝統を受け継ぎ、 新たな伝統を創る 校長 羽生あゆみ